花粉症対策は予防が重要

雨が上がり、春を感じさせる暖かい日差しに誘われて、何も考えず無防備に外出した先日。迂闊だった。完全に油断していた。帰ってから段々と目が痒くなり、鼻がつまって鼻水が止まらなくなった。鼻呼吸ができないので、息苦しくてなかなか寝付けない。朝起きたら口の中は乾いている。飯も全然味わえない。鼻をかみすぎて鼻の周りはひりひりするし、鼻血も出る。呼吸不足のせいか頭もぼうっとしてくる。とりあえず昨年使っていた花粉症用の点鼻薬や目薬を出してみたが、どれも使用期限が切れていて使えない。そこで、仕方なく近所のドラッグストアに新しい花粉症対策グッズを買いに行くとともに、これから行うべき花粉症対策を少し考えてみた。



花粉症は、目や鼻の粘膜に付着した花粉がアレルゲンとして誤認識され、過剰なアレルギー反応により引き起こされるくしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみなどの症候群である。よってその対策は次の3つに大別される。

  1. 根治療法…花粉に対しアレルギー反応を起こしにくい体質を作る(アレルゲン免疫療法)
  2. 原因療法…アレルゲンを取り込まないように予防する(マスク、ゴーグル、空気清浄機など)
  3. 対症療法…アレルギー症状を抑える(抗ヒスタミン薬、ステロイド、Th2活性阻害薬、血管収縮剤など)

これらのうち、最も理想的な対策は根治療法だ。しかし、これは誰にでも効果があるとは限らないし、少なくとも花粉がやってくる2〜3ヶ月前から始めておかなければいけない。今年はもう手遅れだ。したがって今年の花粉症は原因療法(予防)と対症療法で何とかしていくしかない。病院に通うのは金もかかるし面倒だ。それに、処方される事の多いステロイド薬は強力だが、ホルモンバランスへの影響など、副作用のことを考えると、あまり使いたくない。抗ヒスタミン薬も、第二世代は即効性がないし、第一世代は眠くなるのがよくない。市販されている点鼻薬・点眼薬(血管収縮剤)は、その場しのぎには便利だが、使いすぎると効きにくくなり、むしろ症状を悪化させる恐れもあるので注意が必要だ。となると、3つの中では、原因療法(予防)が最も安全で効果的であると考えられる。


まずは生活環境中の花粉対策から。空気清浄機は確かに花粉を除去してくれるが、高価な割に効果はそれほど大きくない場合が多い。密室に閉じこもっているのであればそれだけで十分だが、実際はかなりの頻度で空気を入れ換えたり、人が出入りしたりするわけで、その度に花粉が入ってくるからだ。よって、屋内については、入り口で花粉をなるべく中に入れないように気を付けることが一番重要だ。窓には網戸用花粉フィルター、衣服や布団、カーテン、カーペットなどにはアレルシャットスプレーなどを使うといい。


次に、目や鼻の水際で花粉の侵入を防ぐ手段。外出時のマスクについては、色々高性能なものが出回っているが、個人的には、マスクよりも、ポレノンを一押ししたい。これを鼻に噴霧しておくと、入ってきた花粉を吸着し、花粉がアレルゲンとして作用するのを防いでくれる。点鼻薬や目薬と異なり、生体に直接作用するわけではないので、副作用の心配がない。マスクによる化粧崩れが気になる人、マスクを着用するのが難しい仕事をしている人にもおすすめだ。マスクを使っている人も、併用したり、マスクに吹きかけることで効果をさらに高めることができる。


しかし、これだけやってもやっぱり鼻はつまるし鼻水も出る。この時期だけはどうしても頻繁に鼻をかむことになるので、鼻周りの肌荒れを抑えるために、ティッシュネピア 鼻セレブを使うようにしている。


その他にも、巷には民間療法や健康食品など様々なものが溢れかえっている。もちろんホメオパシーなどは言うまでもないが、食品についても大半は根拠が不確かであり、残念ながら、未だこれといって決定的なものがあるとは言えない。青魚(EPA)*1、ヨーグルト*2、シソ*3甜茶*4など、多少の効果が報告されている食品もあるが、これらは食品であって薬ではないので、即効性や劇的な体質改善は期待できない。自分もこれらのように花粉症に効果的と言われているものは日常的に食べているし、そのうちのいくつかはわざわざ試してもみたが、特に効果は実感できなかった。まあ体質によって効果は違うだろうし、栄養不足が原因で症状が悪化している場合もあるかも知れないので、積極的に摂取するのも悪くないとは思うが。一方で、酒はアルコールの血管拡張作用により鼻づまりを悪化させ、またタバコやスパイシーな食品は粘膜を刺激して炎症を悪化させるので、控えた方がいいとされている。


あとは、月並みではあるが、やはり規則正しい生活、適切な食事、運動、睡眠を心がけ、心身を健康に保つようにする、目をこすったり鼻をかみすぎたりせずに、洗眼や鼻うがいをする、できるだけ花粉症を意識しないといったことだろうか。とりわけ、意識しないということは重要だ。どれだけ万全の対策を施しても、生活環境の中で完全に花粉をシャットアウトすることはできない。だから多少目が痒くなったり鼻がむずむずしたりするのはやむを得ない。しかしそれが日常生活を送る上で我慢できるレベルであれば、無理に症状をゼロにしようと、副作用のある薬や効き目の分からない健康食品などに金をかける必要はない。それに、下手に手を加えることで、小さな炎症を延焼させ、大きく広げてしまう危険性もある。炎症は患部を刺激することでヒスタミンなどの炎症物質が放出されますます悪化する。最初は何ともなかったのに、少し気になっていじってみたらだんだん症状が悪化してきて取り返しが付かなくなってしまった、という経験のある人も多いはずだ。したがって、初期の段階で軽い症状に過剰反応しないことが何よりも大切だ。



ざっと考えてみたが、やはりいかに花粉の侵入を防ぎ、症状を予防あるいは軽い状態に抑えておくことができるかが鍵となるだろう。今年の花粉は例年より少なめらしいので、これらの対策を怠らず、何とか自力で乗り切っていきたい。



参考
あまり知られてないけど、すごく効果のある花粉症対策まとめ - 分裂勘違い君劇場
屋内での花粉対策について(すごく詳しい)。


花粉症を本気で治したい人が知っておいた方がイイ13のコト | 口コミ発信!モノ人
食べ物や体質改善について(若干信憑性に欠ける記述も見受けられるが)。


花粉症対策 〜花粉症をわかりやすく解説。しっかり理解して万全の対策を - プログラマーkkの勉強/成長ブログ@ライブレボリューション(モバイル広告代理店)
花粉症の薬、予防法などについて。


そろそろムズムズしてきた?花粉症の鼻づまりを解消する方法 - はてなブックマークニュース
手軽にできる「鼻づまり解消法」について。


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*1:国立栄養研 「健康食品」の素材情報データベース:EPA(エイコサペンタエン酸)
・大規模なコホート研究で、EPAの摂取量が高いほど花粉症のリスクが低下することが報告されている(PMID:14616103)。一方、花粉症の喘息患者(非喫煙者) 25名において、1日3.2gのEPA 経口摂取は花粉症に効果がなく、喘息の症状(喘鳴、咳、鼻症状など)を改善しなかったという報告がある(PMID:8484622)。

*2:国立栄養研 「健康食品」の素材情報データベース:乳酸菌、ビフィズス菌など
・杉花粉症患者40名(試験群21名、36.9±1.7歳)を対象とした二重盲検プラセボ比較試験において、Lactobacillus GG(>1.4×10(8)cfu/mL)とL. gasseri TMC0356(>1.0×10(8)cfu/mL)入りの発酵乳を110g/日、10週間摂取させたところ、自覚症状の5段階評価(日本アレルギー学会による)で、くしゃみ、鼻水、かゆみには効果が認められなかったが、鼻づまりは軽減したという報告がある(PMID:18977549)。

*3:国立栄養研 「健康食品」の素材情報データベース:シソ
・スギ花粉症患者43名(試験群21名)を対象とした二重盲検試験において、青シソ葉エキス5mg・青シソ種子エキス10mg・甜茶エキス65mgを含む錠剤を1日3粒、スギ花粉飛来の1ヶ月前より2ヶ月間摂取させたところ、眼鼻症状、下鼻甲介粘膜の腫脹、鼻腔内水性分泌量等の所見(診察問診スコア)の低減が認められたという報告がある (日本臨床栄養学会雑誌. 2001; 23(3):5-14)。

*4:国立栄養研 「健康食品」の素材情報データベース:テンチャ(甜茶)
・スギ花粉症患者(15人)に甜茶抽出物40mg含有飲料1缶を1日2回4週間以上の摂取で、使用薬剤量(medication score)の低減、使用薬剤と症状重症度を組み合わせたスコア(symptom medication score)の改善が認められたという報告がある(耳鼻咽喉科展望:42,447-458(1999) )。
・スギ花粉症患者(32人)に甜茶エキス65mg含有食品を1日3粒45日間の摂取で、下鼻甲介粘膜腫脹、鼻腔内水性分泌量の低減、自覚症状(くしゃみ、鼻をかむ回数、鼻づまり、眼の痒み、なみだ)の改善が認められたという報告がある(日本臨床栄養学雑誌:23(3),5-14(2001) )。
・スギ花粉症患者に甜茶エキス300mg配含有飲料を1日1本の摂取で、使用薬剤と症状重症度を組み合わせたスコア(symptom medication score)が前日より低くなる頻度が高いという報告がある(アレルギーの臨床:316,302-305(2004) )。