嫌韓の皆さんへ

Twitterのジャズ名盤bot(@jazzmeiban)やポストロック・エレクトロニカ・音響系(@postrock_bot)では、これまで国籍を問わず様々なアーティストを紹介してきた。特に、日本であまり知られていないアフリカ、東欧やアジアのアーティストの発掘・紹介には力を入れてきた。


しかしながら、それらに対する反応はあまりよくない。ただ反応が薄いだけならまだいいが、とりわけ韓国のアーティストを紹介した直後は、明らかにフォロワー数が減少するという現象*1が見られる。恐らく嫌韓的な思想を持つフォロワーの一部が、紹介文の「韓国」という単語やハングルで書かれたアーティスト・曲名などを見て反射的に拒絶反応を起こしてしまっているのだろう。


もしかすると、「管理人は在日だから韓国のアーティストを持ち上げているのだ」とか、「韓国のアーティストが紹介されるのは韓流推しの電通ステマだ」とかといった陰謀論を脳内で展開している方もいるかも知れないので断っておくが、私は日本国籍を持った日本人であり、韓国に対しては特に何の関わりも思い入れも持っていないし、在日や電通からは一切何も貰ったりしていない。


まずbotの選曲を見ていただければ分かると思うが、韓国を取り上げる頻度は他の国に比べて決して多くない。ジャズの場合北欧・東欧やアフリカ、ポストロックならタイや台湾など、韓国より馴染みの薄い国を取り上げることの方がずっと多い。大体、韓国のアーティストと言っても、当botで紹介しているのは日本ではほとんど無名のものばかりで、マスコミが宣伝しているようなK-POPなどは皆無だ。


私もK-POPには全く興味が無いし、韓国や日本のメディアの韓流ゴリ押しのようなやり方は大嫌いだ。また、前の記事でも少し触れたが、かつては保守派の西村眞悟氏を支持してきたこともあり、韓国の歴史認識問題や在日問題などについては、はっきり言って俄のネトウヨなんかよりずっと前から理解しているつもりだ。


ただ、そのような政治的な好き嫌いと音楽に対する評価は全くの別問題である。韓国が政治的に嫌いだからといって、音楽まで「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」のような態度で嫌ってしまうのは実に愚かなことだ。嫌韓の皆さん、あなたの芸術に対する審美眼や批評精神は、韓国が絡むだけで簡単に曇り、偏向してしまうような不自由なものなの?もしそうだとしたら、それこそあなたが最も嫌う(あなたの脳内の)韓国人の、日本と言えば何でも否定したがる偏狭な心と同じようなものだと思うけど?


世の中には色んなものの見方がある。1つのものをとって見ても、どの側面を見るかで、見え方は大きく異なってくる。国と国との関係にしても、たとえ政治的には相容れなくても、文化的には理解し合えるということがあるかも知れない。アメリカが色々あってもこれだけ世界に愛されているのは、間違いなく文化の力のおかげだろう。私はbotの音楽紹介を通じて、皆さんにそんな視点の1つを提供できればと考えている。嫌韓の皆さんも、ある一面だけ見て心を硬直させてしまったりせずに、もっと精神の自由を大事にしようよ。韓国人に対しても、いきなり竹島を返せとがなりたてても何も生まれないって。それよりまず、お互い好きな音楽の話でもしてみたらどうかな?そうすれば、意外と意気投合して仲良くなれるかも知れないよ。政治の話はそれからでもいいんじゃない?




Ninaian - Only Moment Spent Within You
Album: For A Little Cruise (Amazon | iTunes)




Oriental Express - Jumping Without Moving
Album: Cruising Together (iTunes)

*1:追記: ちなみに本記事を投稿してから数時間の間に、ジャズ名盤botでは約80人、ポストロックbotでは約50人フォロワーが減少した。これだけ書いても結局真意が伝わらなかったのだとすれば残念なことである。