三宅洋平が国会議員になることの意義

7/15 Yohei Miyake at Kyoto 2


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7/15三宅洋平選挙フェス@京都市役所前


ミュージシャン三宅洋平が2013年参議院選挙に緑の党の推薦を受けて全国比例区に立候補した。そのことを初めて聞かされたときは、またよくあるお花畑のサヨクかと思って、正直あまり期待していなかった。もちろん彼は素晴らしいミュージシャンだが、ミュージシャンとしての人気と実力は、議員としてのそれとは別だろうと思っていた。しかし彼の「選挙フェス」をYouTubeや生で聴いた結果、彼は本物だと確信するに至った。まずは以下の動画を観てほしい。


唄う選挙演説 三宅洋平(比例区)緑の党(2013/07/04)


彼の演説からは、人間や自然を守りたいという心からの優しさ、自らの頭で考えて発される言葉の力、そして覚悟を決めた者だけが持つ凄みが伝わってくる。また、これまでの政治家にはなかった全く新しい政治へのアプローチ、ただ自己主張するだけでなく、皆で勉強して、皆で行動しようと呼びかける姿勢に、政治を本当の意味で国民の手に取り戻せるのではないかという期待を感じさせる。


もちろん彼の主張の各論に対しては、手放しでは賛成できないことも多い。特に、原発放射能に対する過剰な危険視や国防の軽視、巷に蔓延るエセ科学陰謀論などを安易に受け入れてしまうようなところなどには問題があると思っている。しかし、だからといって彼が全てだめだとは思わない。少なくとも彼は人々の声に耳を傾けて学ぶ謙虚さを持っている。それは上の動画からも分かる。おかしいと思えばそれを自ら伝え、意見を交わせばいいし、間違いがあれば訂正していけばいいのだ。それに、彼は与党ではないので、彼が国会議員になる=彼の主張がそのまま通る、というわけではない。ただ、彼のような人間が与党の政策に対して異なる視点から問題意識を投げかければ、より多くの国民が問題を認識して考えるようになるだろう。そうなれば、与党も国民の疑問に対して十分に説明することを求められる。その結果、たとえ与党の政策が通るにしても、その過程で議員・国民ともに政策への理解を深めることができ、皆がより納得できる形で政治が進められるようになるはずだ。


私は個人的な考えとして、議会を上手く機能させ、正しい意思決定を行っていくためには、右から左、若者から老人、貧乏人から金持ちまで多様なバックグラウンドや支持基盤、政治思想を持った議員を国会に参加させること、そして様々な国民の声を汲み取り国会で自分の意見として発信し、また国会で議論していることを国民に正しく伝えることのできる議員の数を増やすことが何よりも重要だと考えている。そのために、三宅洋平が国会の一員となる意義はとてつもなく大きいと思うのだ。政策だけを見た場合、私は正直どちらかと言うと彼よりも自民党の考えに近い。しかし、現在の日本の政治を取り巻く状況を変えていくには、平凡な自民党候補を応援して自民党が獲得すると思われる六十数議席をさらに一議席増やすよりも、たった一人でも三宅洋平のような異色の存在を国会に送り込んだ方が絶対に効果が大きいと思うから、彼を支持するのだ(ちなみに私は全く同じ理由で過去10年近く、日本最右翼として知られる西村眞悟議員を支持し続けてきた)。


Twitterを見ていると、三宅洋平への注目度はかなりのものがあると思う。特にこれまで政治に興味を持っていなかった若者達の間で支持が広がっているようだ。個人的に三宅洋平支持が増えるのは嬉しいことだが、できればそんな若者たちにも、ただ感動したからとか音楽が好きだからとかいった理由で無批判に三宅洋平を支持するのではなく、自分の頭でもっとしっかり考えてほしいと思う。たしかに三宅洋平はいいことを言っているように聞こえるかも知れないが、他の候補者だってまた違った素晴らしい意見を持っているかも知れない。伝え方が三宅洋平ほど上手くないだけで。この機会に色々な候補者の意見を比較し、自分の頭で考えてから、誰を支持し、投票するか決めてほしい。


とりあえず東京近辺の人は、時間があれば今日(7/20)午後2時から8時まで、渋谷ハチ公前で選挙フェスがあるから見に行ってみるといい。そして明日21日の投票日まで、どうしたら日本が良くなるか皆で考えよう。


参考記事

広げることと尖らせること

Twitterで音楽紹介bot(ジャズ名盤bot@jazzmeiban, ポストロック・エレクトロニカ・音響系@postrock_bot)の運営を始めてからもうかれこれ3年以上が経った。

音楽紹介botを作った理由は、こちらの記事でも少し触れたが、まず第一に、あまり多くの人に注目されていないジャズやポストロックなどのジャンルへの入り口を作って、これらのジャンルのファンを増やしたいという思いと、第二に、それらのジャンルをすでに好んで聴いている人に対して、周辺ジャンルを開拓することで幅を広げるきっかけを提供したいという思いがあったからだ。そのため、自分の好みや特定の方向性を全面には押し出さず、なるべく色んな人にアピールするような多様性に富んだ選曲を心がけてきた。いくら自分が好きだからといって通好みのマイナーな名前ばかりを並べても、初心者にはそもそも見向きすらしてもらえない。だからあえて他ジャンルの有名曲のカヴァーや、有名アーティストとのコラボ物などを積極的に紹介して、まず「おっ?」と興味を持ってもらおうと考えたのだ。また、特定の狭いジャンルに絞って紹介しても、興味を持ってくれる対象者は狭まるし、彼らにとっても、既に知っている好みの音楽の再確認にしかならず、あまり新しい価値を提供できないとも思ったのだ。例えばこれまでモダンジャズしか聴いてこなかったジャズ親父でも、「ジャズ」という共通言語さえあれば、最近のクラブジャズなんかも楽しめるかも知れないし、例えばゴリゴリのテクノ好きでも、そこからテクノ寄りのエレクトロニカ→生音系エレクトロニカ→アコースティック系ポストロック→轟音系ポストロック→シューゲイザーといった感じに、周辺ジャンルへと興味を広げていくことで、最終的に全然違ったジャンルまで好きになってもらえるかも知れない。自分はbotを通じて、多くの人にそうした新しい発見を楽しんでもらいたかったのだ。


さて、振り返ってみて、実際どのくらい効果があっただろうか?これまでフォロワーの方々の反応を見てきた個人的な印象だと、初心者にとっての入り口づくりにはそれなりに貢献することができたと感じている。一方で、特定ジャンルのファンへの周辺ジャンル案内としては、残念ながらそこまで有効ではなかったように思う。ジャズの方は、一言コメントで大体ジャンルが分かるので、結局モダンジャズ好きはモダンジャズばかり、クラブジャズ好きはクラブジャズばかりという風に、割りと選り好みして聴かれていたように見える。ポストロックの方は、コメントをつけておらず、アーティスト・曲名しか情報がないので、全体的にクリック率が低く、結果的にどうしてもマイナーなものより有名どころの方が(既に知っている好みの音楽の再確認として)クリックされていたように見える。まあある程度は仕方ないのだが、時々紛れ込ませた個人的にイチオシのコアなアーティストの楽曲が全く見向きもされない一方で、言っちゃ悪いがどう聴いてもダサいだろというような大御所や邦楽アーティストの曲なんかがたくさんリツイートされたりしていて、げんなりさせられることも多い。結局無節操に何でも取り上げることで、初心者を含め色んな人に幅広くフォローしてもらえたものの、逆に感度の高いハイセンスな人からは、美学を感じない選曲を見透かされて避けられてしまったのかも知れない。そのような人たちを惹きつけるには、やはり玉石混交ではなく、自分のフィルターを通して、真の音楽好きの感性を刺激するような尖った音楽を厳選して提示していくべきなのだろう。これからもbotでは相変わらず幅広くやっていくつもりだが、botの通常ツイートだけでなく、ブログでの特集や、個人的な音楽紹介ブログの始動といった形で、もっと尖った方向性も打ち出していこうかと思う。

ジャズ名盤botのフォロワー傾向分析

今年四月から、Twitter ジャズ名盤bot(@jazzmeiban)のツイートをFacebookページでも連携して流している。Facebookページの方もフォロワーが1000人近くまで増えてきて、投稿が「いいね!」と言われたり、シェアされたりするようになってきた。Facebookにおけるシェアは、TwitterのRT(リツイート)に似ているものの、RTほどは多用されないみたいだが、「いいね!」は、Twitterにおけるお気に入り(ふぁぼり)と大体同じような使われ方をしていると思う。音楽紹介に対するふぁぼりや「いいね!」は、既に知っているお気に入りのアーティストや楽曲が紹介された時、または紹介された楽曲を聴いてみて気に入ったときに行われる。そのため、ふぁぼりや「いいね!」の多寡から多くのフォロワーに好まれる音楽の傾向を把握することができる。Facebookページを作ったときは、TwitterFacebookも大体同じような傾向を示すだろうと思っていた。しかし、しばらく比較を続けていると、両者でフォロワーの音楽の好みがかなりはっきりと異なっているということが分かってきた。興味深かったのでここ最近の投稿から顕著な例をいくつか以下に挙げてみた。(ふぁぼりと「いいね!」の数は2013/07/06 午前8時現在のもの)

Twitterでは受けたがFacebookではあまり受けなかったもの

Submotion Orchestra - All Yours
Twitter: 38 favs | Facebook: 5 likes

Herbie Hancock ft. Norah Jones - Court And Spark
Twitter: 47 favs | Facebook: 8 likes

Chris Minh Doky - Merry Christmas Mr. Lawrence
Twitter: 38 favs | Facebook: 3 likes

fox capture plan - 衝動の粒子
Twitter: 78 favs | Facebook: 6 likes

SOIL&"PIMP"SESSIONSと椎名林檎 - 殺し屋危機一髪
Twitter: 91 favs | Facebook: 6 likes

Toots Thielemans - Gymnopedie No.1
Twitter: 42 favs | Facebook: 5 likes

Facebookでは受けたがTwitterではあまり受けなかったもの

Wes Montgomery - Airegin
Twitter: 23 favs | Facebook: 21 likes

The King Cole Trio - It Is Better To Be By Yourself
Twitter: 19 favs | Facebook: 16 likes

Sonny Rollins - St. Thomas
Twitter: 20 favs | Facebook: 21 likes

Lambert, Hendricks, & Ross - Cloudburst
Twitter: 16 favs | Facebook: 14 likes

Hank Mobley - Recado Bossa Nova
Twitter: 15 favs | Facebook: 14 likes

Herbie Hancock - Maiden Voyage
Twitter: 19 favs | Facebook: 16 likes

傾向分析

両者を比較してみると、Twitterのフォロワーの方がコンテンポラリー/ニュー・ジャズや日本・欧州のアーティストを好み、Facebookのフォロワーの方がアメリカの王道モダンジャズ、いわゆる「名盤」を好む傾向があると言える。その理由としては、フォロワーの年齢層の違いが考えられる。Twitterでは、タイムラインやメンションを見る限りでは、高校・大学生から孫がいる年齢の方まで、比較的幅広い世代にまんべんなくフォローされている印象がある。属性も多種多様だが、熱心なフォロワーにはジャズ研やバンドサークルなど、音楽に関わっている若者が比較的多いような気がする。そのためか、コテコテのモダンジャズよりも、現代の音楽好きの感性に合った比較的新しいジャズが注目されるのかも知れない。一方Facebookでは、管理者はページに「いいね!」を押した人の属性についての集計データ(下図)を見ることができる。グラフをみると、45〜54歳の男性が最も多いようだ。そのため比較的保守的な選曲が好まれるのかも知れない。また、上の例には挙げていないが、現在の中年世代が青春時代に流行っていたようなフュージョンも全体的に人気が高めだった。
jazzmeiban-insights.png

Kurt Rosenwinkel

カート・ローゼンウィンケルといえば、コンテンポラリー・ジャズ・シーンの頂点に君臨するジャズギターの皇帝として、ギタリストのみならず多くのアーティスト達に大きな影響を与えている存在だ。初めて聴いた時は、よく分からない複雑なコード進行、エフェクター処理され輪郭のぼやけた音色、ひねくれたヘンテコな旋律に、正直いまいちピンと来なかった。しかし、色々聴いているうちにだんだん癖になってきて、気づいたらすっかり彼の音楽に魅了されていた。
カートの音楽の魅力は、ギタリスト離れしたスケールの大きい創造的なアドリブ表現と、独特の現代的な和声感覚にあると思う。アドリブの構成力については、彼自身影響を受けていると語っているジョー・ヘンダーソンに通じるものを感じる。思考停止の手癖垂れ流しや安直な必殺フレーズに逃げることなく、時に逡巡しつつも、一瞬一瞬の閃きを大事にしようとする姿勢から生まれるアドリブは、先の読めない緊張感に満ちている。音楽に予定調和の展開を求めるような人にとっては、捉えどころがないように聴こえてしまうかもしれないが、音楽に新鮮さや知的刺激を求める人なら、聴き手を未知の世界に連れて行ってくれるカートの音楽をきっと楽しめるはずだ。カートはギターだけでなくピアノの腕も一流である。そのためか彼の演奏は、凡百のギタリストのように、運指の制約にとらわれた「ギター的」な音楽表現に陥ることなく、完全に自由に心から湧き出る音楽を表現できているように感じる。独特の和声感覚についても、ギターよりコード・ヴォイシングの自由度が高いピアノの経験が役に立っているのかも知れない。
以下は個人的にお気に入りの演奏。



Zhivago - OJM + KURT ROSENWINKEL
ポルトガルのビッグバンドと共演した作品。"Zhivago"はライヴでもよく演奏されるカートの代表曲の一つ。アルバム『Next Step』に収録されているオリジナル盤もいいが、こっちの方がよりアグレッシヴに弾きまくっている。

アワー・シークレット・ワールド ( Our Secret World )アワー・シークレット・ワールド ( Our Secret World )
カート・ローゼンウィンケル

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Kurt Rosenwinkel - Conception
「バップを弾かんやつはジャズ・ミュージシャンとして認めん!」という石頭のモダンジャズ親父の方々のために、カートが伝統的なジャズもちゃんと弾けるということが分かる音源を紹介しておこう。これはカートの比較的初期の録音だが、クール・ジャズの代表格ジョージ・シアリングの難曲をオーソドックスなアプローチで軽やかに弾きこなしている。

IntuitIntuit
Michael Kanan, Joe Martin, Tim Pleasant Kurt Rosenwinkel

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Kurt Rosenwinkel - Number Ten
この曲ではカートの個性的なメロディー・センスを堪能できる。カートはアドリブ中にギターのフレーズを口ずさみながら弾く事が多い。彼の奇妙なメロディーが不思議と耳に残るのは、それが小手先の表現ではなく、しっかり歌として紡ぎだされたものだからだろう。

The Enemies Of EnergyThe Enemies Of Energy
Kurt Rosenwinkel

Universal Music LLC

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Kurt Rosenwinkel- A Life Unfolds
この曲では冒頭約4分40秒にわたってカートの独奏が繰り広げられており、彼の非凡なハーモニー感覚を味わうことができる。ここでのコードソロは、一般的なジャズギターのそれとは大きくかけ離れた、アブストラクトで斬新なアプローチだ。反復しながら徐々に色彩を変化させていく繊細な表現は、スティーヴ・ライヒミニマル・ミュージックを彷彿させる。

レメディ~ライブ・アット・ヴィレッジ・バンガードレメディ~ライブ・アット・ヴィレッジ・バンガード
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おまけ: カートへのインタビュー
Kurt Rosenwinkel - Interview

2009年ニース・ジャズ・フェスティバルでのインタビュー動画。やりとりが面白かったので紹介。インタビュアーの女性はフランス人で、英語があまり得意ではなく、しかもジャズを全然知らないみたいで、カートに対して色々トンチンカンな質問を投げかけている。


0:27〜「なんで帽子かぶってるの?」
(それはハg(ry そこには触れないでおいてあげろよ…)


0:55〜「これはスタンダードを演奏するトリオなんだ。自作曲は演奏しない」「じゃあ即興演奏はしてないの?」
1:13〜「今日の演奏は即興だったの?信じられない!だってすごくメロディックだったから」
(ジャズの即興演奏がどういうものなのか全く知らないらしい)


1:50〜「色々な影響を受けてるのね。でも全部…同じスタイルでしょ」「えっ?いや、他にも色々…(中略)
まあ大半はジャズだけど、色んな音楽に影響受けてきたよ」「じゃあモダンジャズやってるふりしてるわけ?」「えっ?」
("You pretend to play modern jazz?"と言っているように聞こえるが、コメント欄で、インタビュアーはフランス語の"prétendre"(英: claim, intend)の意味で使ったのではという指摘あり)


3:53〜「どこに住んでるの」「ベルリン、ドイツだよ」「それはひどいわね…そんなとこに住んじゃいけないわ、そう思わない?」
(ドイツ人怒るぞw)


エスニックなコンテンポラリージャズ

最近民族音楽的な要素の入った現代ジャズが好きでよく聴いている。エスニックジャズというと、話題を集めるために他ジャンルの奏者とコラボしただけだったり、アクセントとしてそれっぽいサウンドを乗っけてみただけだったりするような安直なものが多いが、中にはジャズ表現の新しい可能性を感じさせる、クリエイティブで野心的なアーティストもいる。以下は最近のお気に入り。



Tin-Tin Quartet

Utkozes
Utkozes



Tigran Hamasyan

Fable
Fable



Ibrahim Maalouf

Diagnostic
Diagnostic



Avishai Cohen

Seven Seas
Seven Seas



Bojan Zulfikarpasic

Koreni (3eme Album)
Koreni (3eme Album)



Rudresh Mahanthappa

Apti
Apti

Amazon.co.jp MP3ダウンロードストアでアルバムを購入する時の注意点など

今年はアマゾンの勢力拡大が目覚ましいですね。ここ最近も、人気セレクトショップビームス (BEAMS MEN, BEAMS WOMEN, javari BEAMS MEN, javari BEAMS WOMEN) の店舗オープン (10/27) や、全品無料配送 完全サービス化 (11/1) などが話題になっていました。
そして先日 (11/9) ついにMP3ダウンロードストアがオープンしました。開店記念でBlue Note名盤50タイトル 期間限定700円均一セールをやっているのを見つけたので、さっそくtwitterのジャズ名盤botで紹介してみたところ、予想を超える反響がありました。とりあえず自分でもまだ手に入れていなかったものをいくつか購入してみましたが、その際少し気になった点があったので書いておこうと思います。

曲単位で買った方がいいアルバムもある

曲単位で買う場合は基本的に1曲150円ですが、アルバム単位だとセール対象商品は一律700円なので、ほとんどの商品はアルバム単位で買った方が割安になります。特に、Money Jungle (全15曲→1曲46.7円) や、Chet Baker Sings (全14曲→1曲50円) など、収録曲数の多いアルバムはかなりお得です。ただ、The Sermonなんかは、全3曲を個別に買えば450円で済みますが、アルバムとして買うと700円になり、むしろ割高になってしまうので注意が必要です。
一方、曲単位で考えてみると、長い曲ほど割安だと考えることもできます。例えばこの曲などは50分以上あるにもかかわらず、100円で買うことができます。(さらに、MP3全楽曲を対象に収録時間で並べ替えてみると、1秒しかないものから数時間あるものまで見つかります。)

CDもそんなに高くない

最近は円高のおかげか、輸入盤CDが安く手に入るようになりました。特に、往年のジャズ/ロック名盤の品揃えは非常に充実しています。ブルーノートのモダンジャズ作品も、ご覧の通り新品で1000円前後やそれ以下のものがたくさんあります。昔欲しかったアルバムを今になって大人買いしている人も多いのではないでしょうか。
個人的には、MP3とあまり変わらない価格でCDが買えるのなら、なるべくCDを買った方がいいと思います。音質はもちろんCDの方が非可逆圧縮のMP3よりも優れていますし、PCがあればCDから好みのビットレートのMP3を作成することもできます。また、CDには録音日時、場所、各トラックの作曲者、演奏者についての記載があったり、解説やメッセージが付いていたりすることもあり、より多くの情報を得ることができます。それに、ジャズのアルバム、とりわけブルーノート作品のジャケットはお洒落なデザインのものが多いので、部屋に飾って楽しむこともできます。


とは言っても、MP3ダウンロードには、曲単位で買える・買ってすぐに聴ける・売り切れることがない…といった、CDにはない大きなメリットがあります。今後は場合に応じてCDとダウンロードの両方をうまく使い分けていきたいですね。

おすすめ

上記のブルーノート50タイトル以外で個人的にお買い得だと思ったものをいくつか紹介しておきます。


ジャズに興味はあるけれどあまり詳しくないという人は、とりあえず以下のようなオムニバス・アルバムを聴いてみて、まず色々なアーティストを知ってから、気に入った人のオリジナル・アルバムを当たってみるといいと思います。

  • 50 Best Of Blue Note
    こっちは50曲で900円。100の方と重複するトラックはないので、両方ともダウンロードすることをおすすめします。


また、ジャズ・ジャイアントの演奏は古典として聴いておきたいけれど、膨大な数の音源が残されているのでどれから手を出したらいいのか分からない…という人のためのベスト盤もあります。

  • 50 Miles
    ジャズの帝王、マイルス・デイヴィスのアコースティック期における演奏をまとめたベスト盤。モダン・ジャズの歴史を知る上で必聴。


それから、ジャズではなくクラシックですが、The 99 Most Essential シリーズはいずれも著名な演奏家による名演が99曲入りで900〜1200円と、ものすごくお買い得なのでおすすめです。ジャズは好きだけど、クラシックはちょっと…という人は、ビル・エヴァンスに多大な影響を与えたドビュッシーや、比較的聴きやすいピアノ曲集あたりから聴いてみるといいでしょう。


あと、アマゾン以外では、入会金・送料・延滞金無料のオンラインCD・DVDレンタルストアとして有名なTSUTAYA DISCAS
楽天レンタルもおすすめです。ジャズCDも豊富にあります。